人と人をつなぐもの

 Mittel(ミッテル)という言葉をご存知でしようか。ミッテルとはドイツ語で『薬』のことを意味するのですが、このmit(ミット)という部分には『~と一緒に』という意味があります。つまり、薬(ミッテル)とは患者さんと医者とをつないでいるものだから、医者が自分の頭の中だけで薬を考えてい処方したとしても、患者さんが自己判断で薬局で薬を買ってきたりしてもそれはミッテルではないということです。

 この話を教えてくださった大先輩の頃と比べ、現在は薬剤の選択肢も増えました。またインターネットを使えば誰でも専門家のように最新の多くの情報を手に入れることが出来る時代になっています。大変便利になったことは事実ですが、同時に患者さんの希望・期待と担当医の治療方針とのあいだに行き違いがおこるおそれも十分にあります。きっと今まで以上に薬や情報そのものだけでなく、医者と患者さんをつなぐものの必要性は高まっているのでしょう。十分に心して診療にあたりたいと思います。