筋トレのお話

お仕事などで疲れている患者さんに対して診察室でよく筋トレのお話をさせていただきます。「仕事(トレーニング)なんだからしんどくて当たり前」「苦しくても我慢してつづけているとそのうちにできるようになる」など仕事もトレーニングもよく似たことをいわれます。さらに筋トレの世界では「限界を感じてからあと2回バーベルを上げなさい」、仕事でも「限界を自分で決めるな」などとよくいわれ自分を追い込むことが推奨される場合があります。確かに自分を高めていこうとすると様々な負荷をいくことも重要です。ただ、次の点にご注意ください。筋トレをしている人が気をつけているのは、何もトレーニング中だけのことではありません。きちんと栄養と休養をとっているのです。ボディビルダーなどが毎日トレーニングする場合でも今日は上肢、翌日は下肢など日によって負荷をかける場所をかえて、痛めつけた筋肉を十分回復させてからまた負荷をかけるようです。そしてトレーニングするときも正しいフォームで今どの筋肉に負荷がかかているのか感じながらトレーニングを行っているとききます。筋肉に負荷ををかけると筋細胞は少し破壊させるみたいですが、その後に栄養と休養を与えると以前よりも強い筋細胞が再生するといわれています。もしも、ろくに栄養も休養も与えずに朝から晩まで筋トレしていたら、身体を壊してしまうだけで筋力がつくわけではないということです。

 もちろん、脳や心は筋肉ほど単純な構造ではないのですが、負荷をかけていいのは十分に回復しているときということは同じではないかと思っています。くれぐれもご注意くださいますようお願い申し上げます。