薬について

先日、薬をやめることというタイトルでブログを書きました。薬漬け医療と批判されることがある一方、必要で有効な薬を服用しないことによって折角の医療、医学の進歩の恩恵を受けることができないのももったいない話です。医療というのは個別性が高く、患者さんとお薬の関係についても様々です。今回はその関係について少し述べたいとおもいます。

 眼鏡やコンタクトレンズを使用されているかたなら想像しやすいと思うのですが、患者さんと薬の関係を眼鏡に例えて考えてみましよう。もしも眼鏡であれば生活する上でなくては困るものです。眼鏡なしで生活したいという理由でレーシックなどの手術を受けられる方もおられますが、ほとんどの方は眼鏡やコンタクトを使い続けられおられ、無理にやめようとはされません。薬も同様に、生活の助けになっているのであれば無理にやめる必要はありません。眼鏡も薬も最初は違和感があるかもしれませんがそのうちに慣れてきます。注意する点も同様で薬も眼鏡も強すぎても弱すぎても困るので、ちょうどいい程度に調整する必要があるということです。

 次にもしも薬が山登りをするときの杖だとすればどうでしょう。普段の生活では必要ないが不安定なところを歩くときには杖を突いたほうが安全です。飛行機にのるときなどだけ抗不安薬を服用するといった頓服での使用と考えていただくとわかりやすいかもしれません。

 薬は自分にとって浮き輪のようなものと言われる方もあります。泳ぐのが下手なうちは溺れないために浮き輪は必要かもしれないけれど、泳ぐのが上手になってきてもっと速く泳ぎたい、もっと美しく泳ぎたいと思ったときに浮き輪のことを邪魔だと感じるかもしれません。もしお薬が生活するうえで邪魔に感じるのであれば、減薬、中止などを検討するということです。

 もっともっと他にもその患者さんによって自分にとって薬はこういう存在であるというのもあることでしょう。できれば診察室でお話ししていただければうれしく思います。